むかしむかし
この街には人々の願いを叶えてくれる
というおまじないがありました
生きているうちのたった3回だけ
望んだ「もの」の時間をもどすことができたのです
街の大きな時計台の前で
目を閉じておねがいをする
ということでした
時計台はがちんという大きな音と共に
願った「もの」の時間をもどしてくれました
時間をもどすかわりに
願いを叶えた人の瞳の色は
だんだんと薄くなっていきました
むかしの人は茶色か金色の目をしています
それは おひさま をみたことがあるからだそうです
いまのひとは青色の目をしています
空というのは 本当は青色をしているそうです
今はもうずっと昼がこないこの街にうまれた人は
絶対に見えない空の色を見ようとしているから
青色の瞳をしているそうです